12日間の長い長いドイツ旅行。
3度の現地ツアーを組み込みながら、ドイツ鉄道パスを駆使して今日は東へ明日は西へ。12日間で訪れた町は20近く。あまりに多すぎるため、作った思い出は翌日には記憶から消去されているほど。良いのか悪いのか、でしたね。
そんな慌しいドイツ旅行の最終日は、お客様のご要望をかなえるべく、「黒い森」へ行くことにしました。
とろこで皆さんは「黒い森」をご存知ですか?
団体パッケージツアーが火付け役だったのか、「黒い森、黒い森」とおっしゃる方に時々遭遇しますが、恥ずかしながら私自身は黒い森がどこなのか、何なのか、よく知りませんでした。
てっきり「黒い森」と呼ばれる町や観光スポット(ディズニーランドみたいな)があるのかと思っていたら、実はそうではないのですね。「黒い森」(Schwarzwald)とはドイツの左下、スイスとフランス国境の近くで、フライブルグ・バーデンバーデンあたりからコンスタンツ・ボーデン湖あたりまでの一円の地域を指すそうですね。例えて言うなら「関東地方」みたいな(と、鉄道パスの会社さんに教えていただきました)。
なので、簡単に「黒い森へ行きたい」と言われても、さて、「黒い森のどこに行きたいのですか?」という話になるわけです。なるほど、関東地方に行きたい、と言われたら、東京ですか?横浜ですか?それとも北関東?なんて話ですよね。それは広すぎる!
この点については、どうやらお客様ご自身もご存じなかったようなので、旅程は私が勝手に(いえ、時間を考慮した最善策で)作成しました。なにしろ、フランクフルトを基点として日帰りを希望されたので、かなりハードスケジュールになりました。
さて、その当日。なんと言っても日が悪すぎました。
土日は列車が指定席で埋まってしまうことは前週のミュンヘン→カッセル行きで経験し、教訓としていましたが、この日は木曜日だから大丈夫と思っていたら、どうやらドイツの祝日だということが前日に判明しました。
これはマズイ!
なぜなら、これまでの移動距離とは比較にならない長距離の移動と、さらにICEだけでなく、途中から超ローカル路線へ乗り継いで行く予定だったからです。
祝日だと判明した時点で、心が萎えそうでした。(お客様はもっと萎えていた)
しかし、ここで断念しては、旅行会社の名が廃ります。実行あるのみです!
まず、フランクフルト→オッフェンベルクはICE。予想通りの超満員。頑張って探しましたが、二人並んで座れる空席は見つからず、お客様はコンパートメントの空席へ、そして私はダイニングカー(食堂車)で居座ることに。ちょうどお客様のコンパートメントに日本語を少し話せるドイツ人男性がいたので、その方に「お話してあげてください」と任せてきました。それなりに運が良かったと思います。
Advice 1:週末・祝日の列車は予約席で満席の確率が高い。事前座席指定が安心(ただし手数料かかる)。困ったときは食堂車へ。その代わり、食堂車では何か注文してくださいね!
はじめ、ICEは1本前の列車にしようか迷いましたが、それだと乗継時間が5、6分しかない。それまでの10日間ほどで何度か遅延を経験していたので、危険回避で乗継30分ぐらいのこの列車にしました。案の定、この列車も8分ほど遅れてオッフェンベルクに到着。多くの乗客が、到着と同時に列車から飛び出して、別の乗継列車に走りこんでいきました。私たちは何しろ30分あけてあったので余裕綽々。ドヤ顔です(笑)
Advice 2:乗継時間は余裕を持って計画。ドイツでも遅延は発生する!
オッフェンベルクからは「黒い森鉄道」(Schwarzbaldbahn)に乗って「黒い森」の中を進んでいきます。
そのまま乗車するとコンスタンツまで行ってしまうので、私たちはドナウエッシンゲンで乗換え。
このドナウエッシンゲンは「ドナウ川の始まり」という意味だそうで、町には「ドナウの源流」と言われる泉がある。せっかくだしそれが見たかったのですが、黒い森鉄道はローカル路線で、1本逃すと次は1時間後。乗継時間は40分弱しかない。そこにきて、10分近くの遅れで到着。さすがに泉までは無理と判断し、早足歩きができないお客様に駅で待っていてもらい、私は駆け足でせめてドナウ川までと走って行ってきました。
すると、なんとそこは「斉藤茂吉の道」という日本が誇る大歌人がかつて訪れたゆかりの場所ではありませんか!茂吉さん、よくまあ、こんな田舎までいらしたことで!!
ドナウの泉は見れませんでしたが、世紀の大発見に興奮して駆け足で駅に戻ってきました。間に合った!
ところが、です。
やれやれ、走ってきて疲れた、と思っていたら、なんと、乗り継ぐはずの列車がキャンセルされて来ないらしい。田舎駅なのでドイツ語放送のみ。ぜんぜんわからない私たちに、地元の若い女性が親切に「キャンセルされて来ないから、バスで行くほうが良いかも」と訳してくれました。そうですか、親切にありがとう・・・というか、「えー!?」でしたね。遅延はある程度覚悟していたが、まさかのキャンセルです。しかも、こんな田舎駅で!バスったって、そんな事態は予測していないから、どこ行きか、どんなバスがあるのか、まったく不明。しかも、試練は続きます。祝日で緑の窓口(DBのインフォメーション)は休業、向かいの売店のオバチャンが「駅の裏にまわれば当直の人がいるはずよ」と教えてくれて、言われたとおりに裏にまわると、いたいた、おじさん。「すみません、次の列車は来るのでしょうか?何時ですか?バスだとどうすればいい?」と英語で聞くも、すべてドイツ語で返されて、まるでわからない。もうね、フランクフルトあたりの洗練された紳士とは違い、どうみても田舎のオッチャンなのです。だから、「ええい、めんどくさい外国人め」ぐらいのテキトーな対応です。
Advice 3:駅の放送は聞き逃すな。言葉がわからないなら、周囲の人に確認を!
それで、やっとのことで聞き出したのは「次の列車は1時間後」ということだけ。それもキャンセルされるのかもわからない。なので、一か八か、バス停に様子を伺いに行ってみた。
ガラーン・・・
誰もいない。
そして、行き先もどのバスが正しいのかもさっぱりわからない。
完全にお手上げ。
そこへ通りかかった地元の若い男性。「タバコを1本ちょうだい」と言うので(ヨーロッパはタバコが高いから、よく言われる)、「タバコあげるから、ちょっとバスのこと教えて!」と。基本は「困ったら若者に聞け」ですね。ドイツでもフランスでも私が推奨するような田舎町は、年配者は英語が話せないが、若者は英語がまあまあできる。そして彼が教えてくれた事実は、「今日は祝日だから、ノイシュタッド行きのバスはないよ」ということでした。ガックリ、脱力・・・。
Advice 4:助けを求めるなら若い人を探せ!高齢者は英語ができないことが多い。
もうこうなったら、次の列車が来ることを信じるしかありません。
そうと決めたら、次の列車まであと45分ある。それだけあれば、さっき見損ねたドナウの泉に行けそうだ!ということで、今度はお客様も引き連れて(早歩きできないので、茂吉の道で待っていてもらうことにして)、私だけドナウの泉を拝ませていただくことができました。めでたし、めでたし。
期せずしてドナウエッシンゲンの観光ができ、駅に戻ると1時間後の列車は何事もなかったかのように定刻どおりやってきました。私たち、もうお腹ペコペコ。駅のパン屋で買ったフルーツケーキは、見た目イマイチですが、味はかなり美味しかった!素朴で、フルーツたっぷり。疲れた身体と心に染み入りました。
さあ、黒い森の続き!と思ったら、お客様、寝てしまっている・・・(^^;; さすがに、想定外のことが起こりすぎて、お疲れなのでしょう。代わりに私がしっかり取材させていただきました。
窓が開けられるローカル列車なので、私は鉄道マニアのように(ように、ではなく、マニアそのもの)窓から身を乗り出してうねりながら走る列車をカメラに収める!
なかなか楽しませていただきました(^^)
そしてドナウエッシンゲン→ノイシュタッドでまた乗換え(乗換え時間わずか数分なのに、列車は遅れて到着なので、全員向かいで待っている列車に駆け込んだ)、1駅目のティティゼーで下車。
ここが本日予定していた観光地でした。ここまで長かった・・・
ティティゼー(「ゼー」は湖)の名物は黒い森サクランボケーキです。
もちろん食べます。これを食べようと決めていましたから!
食べたら満足してもう帰ります。本当は、サイクリングやボートに乗ったり、いろいろ湖畔で楽しめるのですが、帰路も長いし、疲れたので、我々はこれにて御免。
ティティゼーからはまずまず順調でした。黒い森鉄道でフライブルクへ。フライブルクにも見どころはあるのですが、もう時間も体力もなく、割愛です。時間があれば行ってみたかったバーデンバーデンも残念ながら割愛です。そして、フライブルクからは直通でフランクフルトへICE。ICEはベルリン行きなので、それなりに予約席で埋まっている。上手に2席空いているコンパートメントに入り込み、私はマンハイムから乗ってきたオジサンと楽しくおしゃべりさせていただきました。マンハイムからベルリンまでは5時間もかかるそうです。これは長い!
コンパートメントは好き嫌いがあると思いますが、私は割りと好きです。
特にICEのような国をまたいで走る国際列車は、ドイツ人以外でもスイスやフランスあたりからも乗ってきているので、意外と英語で会話が成立します。(英語ができないと取り残され感があって少し寂しいかも・・・)
はじめはドイツ人のオジサンと少し真面目な話をしていたが、途中からサッカーの話題に切り替えたら、向かいのフランス人も話に乗ってきて、けっこう楽しく盛り上がっていました。
ヨーロッパでサッカーの話題を出すと、かなりの確率で盛り上がれます!経験者は語る(^^)
Advice 5:ヨーロッパで地元の人と仲良くするきっかけはサッカーの話題!
そんなこんなで、話していたらあっという間にフランクフルトへ到着し、「さようならー、ありがとうー」と挨拶をして下車。
朝8時半に出発し、夜7時過ぎに帰着。途中いろいろ想定外ハプニングもありましたが、無事帰ってこれたので、結果オーライといたしましょう。
お客様にも「私一人だったら、絶対に途中(ドナウエッシンゲン)で引き返してきたわ。あなたのおかげです」と褒めていただけました。頑張った甲斐がありました!
毎日こんなハプニング続きだとさすがにウンザリしてしまいますが、ドイツは割と列車運行も正確だし、鉄道網は縦横無尽に走っているので、鉄道旅行にはもってこいの国です。
次回はぜひ、皆さんもドイツ鉄道の旅に出かけてみてください!
情報、アドバイス、それなりに提供できますので、お気軽にご相談を!!
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