インドネシアから戻ったら、次は建築ツアーです。そして間もなくニュージーランド。
もう、忙しくて目が回りきっています(^^;;
今回の表参道コースが当社が企画する初めての建築ツアー。もともと海外や国内の観光で様々な建築物を見学する際に、専門知識がないゆえに漠然と見るしかできなく非常にもったいないことをしていたので、この際しっかり勉強してみたい、という私の希望から企画した教養セミナーなのです。
初めての試みだったので、どうなることか参加者の募集段階からずっと心配は尽きませんでしたが、案ずるより産むが易し。蓋を開けてみれば満員御礼の大盛況。あとはお天気頼みでした。
そんな私の期待むなしく、季節外れの台風接近によって、当日は雨。数日前からずっと天気予報とにらめっこ状態で延期?中止?強行?と悩み続けましたが、お客様の「暴風雨でない限り実施してほしい!」のたくましいご希望に後押しされ、雨の中がんばって実施いたしました。昼までずっと降り続いた雨が、開始とともに少し雨足が弱まり、終了とともにまた大雨が降り出すという、少しばかりは天も情けをかけてくれたようです。
ともあれセミナー開始!
案内役の建築家の先生が説明を始めると、参加者14名皆さんが熱心にメモをとり、質問が止まりません。
なんと素晴らしいことか!!
企画者冥利に尽きます(^^)
ひとつわかったことは、今回の雨によって「天候(条件)が悪いときほど質の良し悪しがはっきり表れる」と実感しました(もちろん講師の先生のことですよ、企画者の私の話ではありませぬ…笑)。そして見事成功!さすが三村先生!!そういえば、8月にバンコクでアジアNO.1のレストランを訪問した時も直前に大雨が降り、びしょ濡れになって他のお客さんも皆テンションが下がった様子でしたが、食事が始まってすぐにそんな懸念も吹き飛ぶ大パフォーマンスで、一同笑顔に包まれたのを思い出しました。晴れていればそれだけで気分が高揚し、多少の不備も気分的に許されますが、雨だとお客様の気分がマイナスからスタートなので、いかにそれをプラスに転じられるか、実力の見せ所なのでしょう。でも、やっぱり晴れが良いですね(^^;;
建築の専門家ではない我々一般人は、表参道といえば「ファッションや流行の最先端」というイメージが先行します。しかし、今回のツアーで教えていただいたのが、「世界的に有名な建築家が設計した建築物(とブランドショップ)がこれだけまとまった地域に建ち並ぶのは世界的に見ても非常に稀有である。それがこの表参道であり、強いて言えば他には銀座ぐらいしかない」そうです。つまり、表参道は「世界の建築コレクション」「世界の建築ショールーム」「世界の建築博覧会」なのです。そのため、多くの外国人がブランドショッピングではなく、建築物を見学するために表参道を訪れるのだそうです。
そうか…知らなかった。凡人の私は、今まで服や食べ物にしか興味がなかった。表参道には何度も足を運んでいたのに、随分もったいないことをしていました。反省…(^^;;
ツアーでは、「なぜ表参道が現在のような街になったのか」といった歴史的背景や、ツアーを楽しむための(建築物を見学する際に知っていると便利な)キーワード、建築秘話、さらには建築家の師弟関係や派閥などドロドロ部分も教えていただき、皆さん興味津々に聞き入っていらっしゃいました。(特にドロドロ物語!)
そのドロドロ物語をひとつ紹介してみましょう。
これは日本の悪しき習慣だと思いますが、建築業界に限らずどの業界でもけっこう派閥(学閥)や師弟関係によって新参者や門外漢を排除する傾向がありますね。そのため業界内は常に閉ざされた魑魅魍魎の世界で、実力よりも人脈や良い師弟関係がモノを言ってしまう。これは日本固有の文化であり世界的には珍しい傾向だそうです。建築界も例に漏れず、その閉鎖的な風潮とは一線を画し、海外で成功を収めたのが「磯崎新(あらた)さん」だと。
…ん?その名前、どこかで聞き覚えが…あ!あれだ!!2月にスペイン・ビルバオを訪問した際にガイドブックに少しだけ載っていたので立ち寄った「イソザキ・タワー」ではないか!!!何が良くて紹介されているのかわからなくて写真だけ撮影して通り過ぎてしまいましたよ。何とも残念な。もし先にこのストーリーを知っていれば、もっとしっかり見学したのに。イソザキさんってそんなに凄い人だったなんて…(泣) どうやら海外ではかなり評価の高い建築家さんだと、今回初めて知りました(^^;;
そうです。私のような残念な人間のために、この教養セミナーを企画しているのです(苦笑)
他にも興味深い話を。
表参道には日本・海外ともに多くの有名建築家の建築物が勢ぞろいしているので、どのように建築家を選んでいるのか不思議に思ったのですが、コンペもあれば施主が指名することもあるそうです。指名はなんとなく縁故とか関係があってのことだろうと想像しやすいですが、コンペとなると、どうやって海外の建築家が日本の建物のコンペ情報を入手するのか、これまた疑問でした。しかし一概にコンペと言っても、誰でも応募できる完全にオープンなコンペは日本には非常に少なく、ほとんどが指名コンペだとか。ああ、やっぱりか。若手が実力を試したり、技能を磨いていくチャンスが日本にはいかに少ないか物語っていますね。ちなみに新国立競技場のコンペは、かなりクローズドな指名コンペだったそうです。そして、日本で数少ないオープンコンペの代表として「仙台メディアテーク」という複合文化施設を紹介してくれましたが、ここで一人、今では日本を代表する建築家(伊東豊雄さん)が世界に名を轟かせることとなり、その審査員が先述の「磯崎さん」だったというから、ますます面白くなってきましたよね。ドラマ人間模様…!磯崎さんはあのザハ・ハディド(残念ながら実現しなかった新国立競技場案)を無名時代に見出したこともあるそうなので、そういう意味で磯崎さんは実力ある無名建築家の救世主だったのかもしれません。最近では海外で仕事をスタートさせ、成功を収める建築家も少なくないとのこと。「磯崎さんにならえ!」ということかも(^^)
もうひとつ教えていただいた話を紹介します。
時々テレビで素敵な住宅を紹介する番組がありますが、偏見かもしれませんが、どうも建築家が設計する建物はデザイン重視で実際には使いにくいというイメージが先行してしまいます。建築家とはまるで画家や音楽家のように自分は芸術家だと勘違いしているのではないかと。時に華美で、時に奇抜で。ところが、「良い建築はそこにいる人が生き生きと生活できることが重要だ」と考え、世界中の建築家に大きな影響を与えた人物が建築設計事務所OMAの代表「レム・コールハース」だと。彼はマーケティングを含めあらゆる事象を徹底的に分析し、カッコイイとかデザイン重視とは一線を画した建築物を作ってきたそうです。つまりは、建築家といえども、やはりお客さんあっての商売、ということですね。彼も建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞しています。ちなみに彼はオランダ・ロッテルダムの出身。
…おっと、これもか!行きましたよ、ロッテルダム。そして駅前からどーんと抜ける大通りの両側には数々の美しい現代建築物がずらり。ここでも「わー、キレイ!」と写真を撮って終了。まったく何しているのでしょうかね。他にも世界中いろいろ行きました、そして「すごーい」と写真だけ撮って帰ってきました。建築家の先生方が聞いて呆れますね。
だから、こういうセミナーの必要性を感じたわけです!
今からでも遅くない…!(かなり遅いが)
次は銀座コースです。12月3日(日)です!!
銀座も表参道と同様、まとまった地域にあれだけ多くの有名建築家の作品が建ち並ぶ世界的に珍しく貴重なエリアです。
私のように手遅れになる前に、ぜひ皆さんもこの建築ツアーにご参加ください!
表参道ツアーでは、ここに書ききれないほどの面白いお話をお聞かせくださいました。まだまだネタを準備してくださっているようです。この続きは次回銀座ツアーに参加して、ぜひ建築の面白さを体感してみてください。
皆さまのご参加をお待ちしております!
建築家の三村先生(Malo Planning Inc. 代表)、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします!
時間外にもかかわらず場を提供してくださったLe Pre Verreさん、ありがとうございました!
旅行のお申し込み・ご相談はこちらまで↓
info@i-travel-square.tokyo | |
Telephone | 03-6706-4700 (平日10時~18時) |