師走の初日、12月1日は「教会と音楽セミナー」第5回でした。
テーマは「ドイツ・バロック音楽の巨匠 生誕地を訪ねる旅」
バッハ大先生の基本の「キ」を学ぶ、バロック音楽の集大成のような内容です!!
まず、前々回から恒例となった、渡邊先生のチェンバロ演奏から始まります♪
晴れ渡った清々しい朝、チェンバロの音色は我々を、中世の教会サービス(ミサのこと)に参加している気分にさせてくれます。
ドイツ・バロック音楽の巨匠とは、バッハ、ヘンデル、テレマン。
チェコの「ヤナーチェク」を知らなかった情けない私は、やはり「テレマン」ってどなたですか?状態で失笑を買ってしまいます(^^;;
最初に披露されたCDを聴き、「これって教会音楽ですか?まるでヨーロッパ版の演歌みたい…」の発言に、なんと答えて良いものやら困り顔の渡邊先生(^^;;
よくそれで、バロックセミナーを企画するな、と自分でもその大胆ぶりに苦笑い。
言わずと知れたバッハ大先生は、中部ドイツのアイゼナハで生まれ、ライプツィヒで大活躍。
私とバッハの本格的な出会いは、ピアノを習っていた時の指の練習用「2声インヴェンション」。右手の旋律を左手が追いかけて行くいちばん最初の曲がとても印象深く、ピアノをやめて長らく経った今でも右手だけは弾けます。当時バロックを知らないながらも、他のモーツアルトやベートーヴェン、ショパンなどと曲調が少し違うことだけはわかっていて、だからこそ面白く感じていたのでした。
そのバッハ先生のアイゼナハを初めて訪れたのが昨年。
その時は、バッハの家だけが目的で、時間が少ないなか、バッハハウスへ駆けつけ、オルガンミニコンサートを聴いただけでとても満足していました。
道中「ルター500年祭」とかルターの像とかいろいろありましたが、そんなものには目もくれず…
あとで渡邊先生にこの話をすると、「なんともったいないことを!」と…やはり無知は最強だ(^^;;
その後、このセミナーで、ルターは教会(キリスト教)を一般庶民に受け入れやすく大変革した、とんでもない偉人だったことを知る。もちろん、中学校の歴史で「ルター・カルヴァン・宗教改革」というキーワードは知っていましたよ。しかし、その改革の中身までは知らなかった。こんなすごい人だったとは…。
いちど頭に印象付けられると、今度は行く先々でルターらしき名前や像があると、興味深く見学するようになります。
10月に行ったデンマークや、5月に行ったノルウェーなど、北欧は実はルター派天国だったのですね!
ルターとカルヴァンの大きな違いは、音楽の造詣があったかなかったか。
ルターは音楽の素養もあったらしく、それでルターは教会において音楽も重視していた。ルターが宗教改革で編纂した「コラール」は、信徒が礼拝に積極的に参加するため、(庶民でも)親しみやすく覚えやすいメロディの賛美歌を集めて自ら作曲したものもあるそうです。
知らなかった、ルターさん、あんな顔して、作曲もされていたとは!!
そんな偉大なルターのアイゼナハ。
今回のセミナーは来年5月の中部ドイツ旅行で巡る街を紹介する内容でもありました。
だから、次回のアイゼナハは絶対に失敗しない!!
※まったく記憶になかったが、アイゼナハのマスト・ヴィジット「聖ゲオルゲン教会」を昨年ちゃんと訪問して、しかもちゃっかり写真まで撮っていました…(^^;;
バッハ大先生以外でも、この中部ドイツでは多くの作曲家が誕生し、活躍していたそうです。
私は聞いたこともないシュッツ、シャイン、シャイト、そしてそれよりずっと有名なメンデルスゾーン、シューマン、リスト、ヴァーグナーなど。
なぜこの地(中部ドイツ)で優れた音楽家が輩出されたのか?
どうやら17,18世紀のドイツの政治状況が関連するらしい。
その後のドイツの行動からは想像できませんが、当時の中部ドイツは名目上の独立国家にすぎず、常に受け身で、ヨーロッパ全体の発展に積極的にかかわろうとせず、常に周囲の大国に依存していたそうです。依存状態なのでこの地域の都市には政治的発言権がなく、地域的に限定された展開による無秩序な形態の多様性があった。実はこの多様性がカギで、逆に芸術や学問に大きな推進力をもたらしたそうです。もちろん音楽の分野にも。
もしこの多様性の背景がなければ、中部ドイツもヨーロッパ全体の大きな潮流に飲み込まれ、画一的な模倣のような作品しか生まれなかったのかも知れませんね。少なくとも私はそう理解しました。
幸か不幸か、(中部ドイツは)田舎だったから、田舎特有の「受け身姿勢」が功を奏した、ということですね(^^;;
めでたし、めでたし。
※後日、先生に確認したところ、「もしこれらの地域で、周囲の大国のように(積極的に)人材やお金が軍事費や外交政策に費やされてしまったら、領民が幸せに生活するための堅実さを産み出す余裕がなかった。(つまり、国民の福祉や教育までお金がまわらなかった、ということ)。そして何より、ルター派の教会学校による教育が行き届いていたことも、芸術文化を発展させる大きな前提条件だった」ということです。
よく「教育こそ国力」と言いますが、まさにこの中部ドイツの小さな領邦では、時代を先どって教育重視の体制が進められていたのですね。さすが!
他にも多くの説明をいただきましたが、内容が多すぎて、解説のテンポが私には早すぎて、メモを十分に取れなかった…
このリベンジは、実際に旅行で現地を訪れた際に、再度しっかり説明を聞くことにしよう!
→【旅行】3大バロック音楽の巨匠・生誕地を訪ねる旅 9日間 2019年5月20日~5月28日
この日は濃いレクチャーだけでなく、差し入れもたくさんありました!
前回紹介されたリューベックのロートシュポン(赤ワイン)は私の視察旅行のお土産(^^)
ワイン通のお客様から滋味深いスペインの赤ワインと、いつもご参加くださるお客様から甘くて瑞々しい紀州ミカンの差し入れ。ミカンが割れているのは、剥きやすい食べ方を教えてくださったから(^^)
ワイン2杯も飲みながら、かなり良い気分になった私、仕事も忘れ、レクチャー中のCD音楽に合わせてダンスステップを踏んでしまいそうな勢いでした(^^;;
そして、振り返ってみると、最後のCDの前に先生がおっしゃった
「ガボットは『真っ赤だなー』」
だけがリフレイン…
※「真っ赤だなー、真っ赤だなー」と歌う童謡
先生はこんなに多くの情報を詰め込んでくださったというのに、それだけか?と喝がとんできそうです?
スミマセン、酔っ払いに免じてご勘弁を…(^^;;
今回は12月ということもあり、レクチャー後に「忘年会ランチ」を実施しました。
予想以上にたくさんのお客様がご参加くださり、本場仕込みのイタリアンを食べながら(よく考えると私、イタリアから帰ってきたばかり…)、2時間ノンストップのおしゃべり!
そうか、皆さん、受講中はとても静かですが、本当はたくさん話をしたかったのですね!!
次回からは、もっと質疑応答時間を増やすべきかな(^^)
「教会と音楽セミナー」は今年2月からスタートし、総論(教会の変遷、クラシック音楽の変遷)を手始めに、チェコ・ブルノ、北ドイツ・リューベック他、中部ドイツ・マグデブルク他をご紹介してきました。
このセミナーは、私自身がヨーロッパを旅行する際に必ず訪れる教会を「もっと深く理解したい。そうじゃないと、ただ中に入って写真撮って終わっている自分が虚しすぎる…」という残念体験を改善するために企画したものです。
きっと、世の中には私と同じように「残念体験」を何とかしたい方が少なくないはず!という妙な自信(^^;;
その自信が的中したかどうかはさておき、このセミナーのおかげで、最近ではヨーロッパへ行くたびに、教会を訪問せずにはいられない!
そして、パイプオルガン、祭壇、ステンドグラス、礼拝堂、両サイドに掲げられる「十字架への道行き」、それから建築様式を念入りに観察し、「ああ、これが先生が説明してくれたものだな」とか、「この国のオルガンはドイツのとは少し違うぞ」とか、「道行きのパネルが12枚以上ある!」とか、いろいろ違いを見つけては楽しんでいます。
また、偶然教会コンサートや朝のサービス(ミサ)があると、積極的に参加してみるようにもなりました。
こうして学んだ知識のアウトプット、大活用させていただき、教会への理解は以前に比べ、格段の違いとなっているのです。
本当に、セミナーを始めて良かった!!
次回は、バルト三国・エストニアがテーマです。
先生が当社・他で行うセミナーで、初めて取り上げる地域です!
しかも、これまでのセミナー内容と少し異なり、この地域の歴史的背景から、「民族とアイデンティティ」にまで踏み込んでいただける。
そうです、バルト三国には周辺列強に蹂躙・翻弄され続けた辛い歴史があり、それを克服した強い民族意識が存在するのです。
5年に一度の「歌と踊りの祭典」のベースとなるお話、そして中世芸術の宝庫タリンについて。
次回もとても深い内容でお話していただけます。
ぜひ皆さまも、土曜の朝を、教会音楽に包まれながら、穏やかなひと時をお過ごしください!
次回予定:2019年2月16日(土) 10:30~12:30
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